成城補聴器の調整方針

SEIJO Hearing Aids Fitting Policy

東谷圭子 成城補聴器
成城補聴器株式会社 代表取締役
成城補聴器フィッティングルーム
認定補聴器技能者
東谷 圭子

成城補聴器の約束

補聴器の良否は

  1. 音の調整がその方の聴力にうまく合っているか
  2. 補聴器の形がその方の外耳道の形にうまく合っているか

の2つのポイントで決まってくると考えられます。どちらも大切ですが、当店は2つめの補聴器の形がうまく外耳道にあっているかの方がむしろ大切と考えています。

そのため補聴器のご注文をお受けしましたら

  • オーダーメイド耳あな型補聴器をご注文の場合→補聴器の本体そのものを作製のために
  • 耳かけ型補聴器をご注文の場合→耳の中に入る耳栓の部分をオーダーメイド(イヤモールド)で作製するために

耳型の採型を行いますが、この耳型の採型に最も神経を集中して作業を行っています。

人によってお顔がみんな違うように、外耳道の形も人によってみんな違います。太さ、曲がり具合、ねじれ具合、凹凸、本当に様々です。その形をできるだけ原型に忠実に正確に採型することがいい補聴器が作製できるかの重要なポイントと考えています。

その耳型からメーカーさんがオーダーメイド補聴器あるいは耳かけ型補聴器のイヤモールドを作製してくれます。その場合に

  • 補聴器の先端を外耳道のどの深さまで作るか
  • 手前は外耳道入り口からどのあたりまで入るように作るか
  • 凹凸部はどこまで原型に忠実に作りきるか

などのデザインをメーカースタッフと相談しながら、最適の形を目指します。

出来上がってきた形について、実際に装着していただいて不具合があれば何度も作り直しをします。

きつすぎると、入れにくく、入れてからもお耳の中が痛くなります。ゆるすぎると、隙間が大きく音漏れを起こしてピーピーとハウリングが起きたり、自分の声が響いて反響したり、相手の声も反響したりします。

最適に適合した形が、最もいい聞こえに繋がります。

このように当店は形に対する強い思い入れを持って補聴器のフィッティングに携わっています。

しかしながら、最近の補聴器販売店の多くは、その逆に進んでいると思われます。

最近、日本の市場で最も売上を伸ばしている補聴器は、補聴器本体はごく小さい形の耳かけ型で耳栓部分がスカスカで本体と細いヒョヒョロのチューブで繋がっているオープンタイプの耳かけ型補聴器です。

オープンフィッティング 耳かけ型補聴器
オープンフィッティング 耳かけ型補聴器
構造上、必ず音漏れが生じるので、ハウリングキャンセラー機能は必須
既製のクローズ耳栓
密閉しきれず音漏れが生じやすいため、ハウリングキャンセラー機能を使う事例が多い

このタイプの補聴器(耳栓)は、外耳道部分が隙間になっているので、多くの音が外に抜けてしまいます。

外耳道を塞がないので、自分の声が響かない、こもらないということがセールスポイントになっているようですが、本来の補聴器の目的である「よく聞こえること」は、おろそかになっていると考えられます。

オープンタイプの補聴器を勧められて購入したが、よく聞こえない、耳型に合わせていないスカスカなのではずれやすいなど困って相談に来られる方が多いです。

またオーダーメイドの耳あな型補聴器を買われた方でも、外耳道は大変広い大きなお耳なのに、ひどく小さい形で隙間だらけの形でよく聞こえないという方が多くおられます。

最近のデジタル補聴器は音漏れによるピーピー音(ハウリング)を抑える機能を備えているため、オープンタイプの補聴器でもゆるゆるの補聴器でも、ハウリングを無理に抑え込むことが可能になりました(ハウリングキャンセラー機能・ハウリング抑制機能)。

ハウリング抑制

ハウリング抑制のしくみ

[補聴器販売の手引き(PDF 11MB) 補聴器の安全で効果的な使用に資するマニュアル より(厚生労働省医政局 委託作成)]
補聴器販売者技能向上研修 委託事業 日本補聴器販売店協会

しかしそのような機能を使った場合は、聞こえてくる音が反響の強い、不自然な音になると、比較試聴(ハウリングキャンセラー機能 入・切での比較)をされた方々から伺います。その結果「音は聞こえるけれども、ことばとしてはっきり聞こえない」という結果を招く場合が多いように感じます。

補聴器はメーカーや機種が同じでも、店舗や調整担当者の考えや技量によって、形状や音質が全く異なる補聴器に仕上がります。

当店【成城補聴器フィッティングルーム】では、音漏れが少なくなる形状を長年追求してきました。場合によっては何度も無償で作り変えながら、ハウリングを抑えるデジタル機能等を出来るだけ用いない、自然な音作りを目指しています。

「ハウリング(ピーピー音)は、外耳道にぴったりの隙間の少ない形で防ぐ」という、アナログ補聴器の時代から試行錯誤してきた基本の実践こそが、現代でも最もいい聴こえに繋がると考えています。

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