客観的な指標②「周波数特性」←補聴器特性試験装置の記録から(重要)

客観的な指標①「オージオグラム」で、聴力を把握できました。次は補聴器が「どんな音に増幅しているか」を把握することが肝要です。いま補聴器をお持ちの方やご家族の方にとっては、装用されている補聴器の内容を知る、ということになります。これから補聴器を作ってみたい方は、試聴の段階で得ることが出来る情報です。少し難しく思われるかもしれませんが、その見方をご案内申し上げます。

客観的な指標①「オージオグラム」が入手できましたら、次はその聴力をもとに、補聴器の音作りを行います。昨今の補聴器は(成城補聴器では殆どOFFですが)デジタル機能が大変多く、様々な調整項目があります。とりわけ基本的な項目が「周波数特性(しゅうはすう とくせい)」です。

この周波数特性の前に、補聴器の仕組みを簡単にご案内申し上げます。

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図A 補聴器の概要イラスト

図A「補聴器の仕組み」をご覧ください。補聴器は「音を大きくすること」が主な仕事です。音が補聴器に入ると、まずマイクロホンで補聴器に取り込まれます。その後、プロセッサーで音を処理・増幅して、イヤホンから大きくした音を出し、耳の奥の方へ導きます。

「周波数特性」は、補聴器に入ってきた音と、補聴器から出てくる音について、周波数毎の増幅具合を一目で解る様に、次の様な器械「補聴器特性試験装置」で測定すると得られます。

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図B-1 補聴器特性試験装置 本体
図B-2 補聴器特性試験装置の音響箱

実際の測定については次の動画でご覧いただければ解りやすいと思います。

↓ 動画に「音」は収録されていません ↓

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図C 補聴器特性試験装置で記録された「補聴器周波数特性」

図B「補聴器特性試験装置」で得られる図C「補聴器周波数特性」は、Y軸(縦軸)はオージオグラムと同様に音圧の表記です(*)。X軸はオージオグラムと同じ周波数[Hz]です。対数表記なので縦線の間隔が異なります。

(*)
補聴器用の周波数特性は[dB SPL]、ヒトの聴力=オージオグラムは[dB HL]と、絶対値では異なりますが相対的な比較は可能です。

図C 中央に山なりのカーブ2本がご覧頂けると思います。それぞれ「60dB」「90dB」と添えてあります。「60dB」ラインは「60dBの音を補聴器のマイクロホン(入口)に入力したら、イヤホン(出口)から〇〇dBが出てきたよ(図Dの赤色の数値)」ということを表します。〇〇dBは、左側のY軸の数値を読み取ります。入力音と出力音の差分は「利得(りとく)」=補聴器内部でどれだけ増幅されたかを表します(図Dの緑色の数値)。

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図D 補聴器周波数特性から読み解く増幅度

この利得が大きければ大きいほど、補聴器内部で増幅している仕事量が大きい、ということです。装用者がうるささを感じず、言葉がよく聞き取れる様に利得を調整することが、補聴器販売店に課せられた役割です。調整方法(耳栓形状も含めたフィッティング)は各店舗、各担当によって考え方がまちまちで、同じ聴力の装用者に対して、同じメーカー、同じ型式の補聴器を提供する場合でも、調整する人間によって異なる調整を行うため、聴こえ具合も異なります。

ご自身、ご家族の補聴器について、増幅具合がどうなっているのかを把握なさるために「補聴器周波数特性」のグラフを入手される事をお勧め致します。どれくらいの増幅が適正なのかは後述致します。

また昨今の補聴器は前述の通りデジタル補聴器が主流であり、その調整にはコンピュータを用います。コンピュータで動作する「補聴器調整ソフトウェア」からも「補聴器周波数特性」は入手可能ですが、これは望ましい記録ではありません。

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図E 補聴器特性試験装置と調整ソフトウェアの関係

「補聴器調整ソフトウェア」は、補聴器ごとに異なるマイクロホン特性やイヤホン特性を無視した「多分こうなるだろう」という目標値に過ぎません。補聴器側に感度不良などの不具合がある場合も見抜くことができません。

もしも補聴器販売店舗で補聴器周波数特性を入手される場合は、補聴器を実際に測定する「補聴器特性試験装置」から出力された「実際の周波数特性」をお求めになる様、お勧め申し上げます。